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AI失業はフィリピンのコールセンターから始まるかもしれない

フィリピンBPO産業の現状

経済の柱: 欧米の英語圏のコールセンター業務を中心にフィリピンのBPO産業は、約130万人の雇用を支え、
年間収益は300~380億ドル(約4.5~5.5兆円)。
GDPや雇用の大きな割合を占めている。

雇用機会: BPOは、特に大卒ではない労働者にとって重要な雇用源であり、
多くのフィリピン人が海外に出稼ぎに行かずとも生活できる手段となっている。
※BPOとは「ビジネスプロセスアウトソーシングの略」

フィリピンに住んでいると不思議なことに深い深夜に外出する人が目に付くことがある。
しかも、制服のようなポロシャツを着ているので不思議がってある時聞いたら
「コールセンターの仕事」だよとフィリピン人に教えてもらった。

graveyard (shift):本来のお墓で働く人の意味から「深夜勤務」という言葉が一般的に使われている

英語が堪能なフィリピンは欧米の英語圏のコールセンターにはちょうど良い人材なのだ
顧客からの質問に対してマニュアルがあり、それを受け答えできればいい。
何も電話の向こう側がアメリカ人である必要もなし、イギリス人である必要もない。

インターネットが普及してフィリピンでも中規模の街でも業務が可能になり、
この15年程度で爆発的に伸びた業種だ。
しかし現在、AIの進化により、このコールセンター業務は奪われる可能性が高まっている

AI導入の影響

1:雇用喪失のリスク
・AIの進展により、低熟練のエントリーレベル職が自動化され、今後5年で最大30万人の雇用が失われる可能性。
ライブチャットとAIの普及: アメリカの大手ネットショップでは、コールセンター対応をライブチャットに移行。
これまで蓄積された顧客とのテキスト化データがAIのトレーニングに活用され、
フィリピンのBPO労働者にさらなる人員削減圧力をもたらしている。

2:雇用喪失のリスク
・AIを活用した新しい業務(データ注釈、AI管理など)が生まれつつあるが、従来の労働者にはスキルギャップが課題。
・AIによる効率化で、新人トレーニング期間の短縮なども進展。

3:業界の進化と課題
・AIツールの導入で業界全体の競争力向上が期待される一方、適応できない労働者が排除されるリスクが顕在化。

私は自身は海外のネット通販を利用するのですが、最近はライブチャットでやりとりする事が多い。
以前なら電話やEメールや問い合わせフォームなどだったが、最近大手のサイトほどライフチャットが多い。

よくよく考えてみれば、ネット通販の問い合わせにはあまりバリエーションが無いような気がする。
返品、交換、キャンセル、支払いのトラブル、住所変更など、
これまでの膨大な問い合わせ情報を分析していけば、その受け答えはAIで十分で
そこから溢れた例外の処理だけをコールセンターで行えばいい。

実際にフィリピンのオフィスでは、コールセンター業務の隣の部屋では、
膨大な問い合わせデータをAI化するために、精査、振り分けをする部署が併設されているらしい。

フィリピン人労働者の視点

1:懸念と希望
・労働者は、AIに取って代わられる恐れを抱く一方、新しいスキルを習得すれば活路が開けるとの期待も。
・一部労働者は、AIを活用したフリーランス業務や新しいキャリアに挑戦中。

2:権利保護の重要性
・労働条件の改善や労働組合結成が進んでいない現状が問題。
・法案「BPO労働者のためのマグナ・カルタ」では、最低賃金や労働条件の向上を目指している。

世界の船乗りでもっとも人口が多いのは実はフィリピン人で120万人の商船に携わる
フィリピン人は20万~30万に居ると言われている。
マグナ・カルタ法案は世界で働くフィリピン人の船乗りの権利と保護を目的とした法案

未来への対応
1:スキルアップとリスキリング
・プログラミング、データサイエンス、AI倫理などの高度なスキルが求められる。
・政府や企業はリスキリングに取り組むが、その準備と進展に遅れがある。

2:政策の進化
・社会保障制度や税制の改正を通じ、AI時代の雇用環境に適応する必要性。
・政府が最悪のシナリオに備える計画を立てるべきとの声も。

結論として

フィリピンのBPO産業は、AI導入がもたらす効率化とコスト削減の恩恵を受ける一方で、
雇用喪失や海外流出といった負の側面に直面している。
ライブチャット普及に伴うデータ活用がAI進化を加速させ、労働者の削減を助長する。
さらに、フィリピン政府は人材育成への対応が遅く、
既存の予算が適切に運用される保証もない。これにより、
国内の労働者が海外に流出するリスクが高まる中、
労働者保護とスキルアップ支援を迅速に進めることが、持続可能な産業構築の鍵となる。

2024年は政府が公立学校の予算を凍結させて、週3日しか学校通えないエリアがあるという。
そもそもフィリピン政府は国民に賢くなって欲しくない、というような風にも見える。
そんな中で果たして人材育成は進むのだろうか?

個人的な考えでは、フィリピンのBPO産業は廃れていき
職を失った雇用者は中東、欧米、オーストラリアなどの出稼ぎに出る姿が浮かんでいる。

参考:アングル:「AI失業」のリスクに脅えるフィリピンのコールセンター従業員

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