フィリピンの平均年収は2022年時点、約230,000ペソ(約600,000円)程度
日本の平均年収4,600,000円と比較すると、約8分の1(13%)程度ということで
まだまだ発展途上の最中です。統計が古いので最新ではもっと上がっていると思います。
フィリピン統計庁(PSA)の最新データによると、2022年の全国全業種の平均月給は18,423ペソ。
これはあくまで全業種の平均なのですが、エリアと業種によって賃金差は相当あります。
目次
フィリピン地域別 平均月収

地域 | 平均月収(ペソ) | 日本円換算(1ペソ=2.5円) |
---|---|---|
マニラ首都圏(メトロマニラ) | 約22,000ペソ | 約55,000円 |
セブ島 | 約15,000~20,000ペソ | 約37,000~50,000円 |
ダバオ | 約18,000~25,000ペソ | 約45,000~62,000円 |
フィリピン職業別 平均年収
職業 | 平均年収(ペソ) | 日本円換算(1ペソ=2.5円) |
---|---|---|
医師 | 約780,000ペソ | 約2,000,000円 |
エンジニア | 約560,000ペソ | 約1,500,000円 |
美容師 | 約430,000ペソ | 約1,100,000円 |
介護・育児従事者 | 約400,000ペソ | 約1,000,000円 |
運転手 | 約210,000ペソ | 約550,000円 |
ハウスキーパー | 約200,000ペソ | 約520,000円 |
フィリピンの収入格差の要因として
① 地域差
- 首都圏(マニラ): 平均月収22,000ペソ(約55,000円)
→ 外資系企業・BPO・大企業の本社が集中し、収入が高め。 - 地方都市(セブ・ダバオ): 平均月収15,000~25,000ペソ(約37,000~62,000円)
→ 観光業やIT企業の進出で、都市部では比較的高収入な職が増加。 - 地方(農村部): 平均月収10,000~15,000ペソ(約25,000~37,000円)
→ 農業や漁業が中心で、労働賃金が低い。
② 産業構造の影響
- フィリピンのGDPの約60%はサービス業
→ BPOや飲食業、観光業が中心で、工業や製造業の発展が遅れているため、高スキル職以外の給与水準が低い。
③ 学歴とスキルの影響
- 大学卒業者と高卒者の収入格差が大きい
→ フィリピンでは大学卒業者の年収が1.5~2倍高い傾向にある。 - 英語力の有無で収入差が出る
→ BPOや外資系企業では英語が話せる人の方が給与が高くなる。
フィリピンと日本の職業別比較
職業 | フィリピン 平均年収(ペソ(円)) | 日本 平均年収(円) | 日本の年収 / フィリピンの年収(倍率) |
---|---|---|---|
医師 | 約780,000ペソ(約2,000,000円) | 約12,000,000円 | 6倍 |
エンジニア | 約560,000ペソ(約1,500,000円) | 約5,000,000円 | 3.3倍 |
看護師 | 約350,000ペソ(約875,000円) | 約4,800,000円 | 5.5倍 |
美容師 | 約430,000ペソ(約1,100,000円) | 約2,800,000円 | 2.5倍 |
介護・育児従事者 ・福祉職 | 約400,000ペソ(約1,000,000円) | 約3,500,000円 | 3.5倍 |
運転手 | 約210,000ペソ(約550,000円) | 約4,000,000円 | 7.3倍 |
ハウスキーパー | 約200,000ペソ(約520,000円) | 約3,000,000円 | 5.8倍 |
考察として
1. フィリピンの労働市場の特徴
- フィリピンは人口の約60%が労働年齢(15~64歳)で、若年層が多い。
- 日本とは異なり、高齢化の進行が遅く、労働力が豊富であることが強み。
- 若年層の多さがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界やサービス業の成長を支えている。
- 一方、労働市場に対して高賃金の仕事が少なく、低スキル職の給与水準が低い。
2. 看護師の年収格差
- 看護師の年収差は約5.5倍で、日本では約480万円、フィリピンでは約35万ペソ(約87.5万円)。
- フィリピンの看護師は国内でも安定した職業だが、日本と比較すると給与が低い。
- 海外での就職(特に日本・中東・欧米)を目指すケースが多い。
- 日本の**「EPA(経済連携協定)」** に基づき、フィリピン人看護師の受け入れが行われている。
- アメリカ、カナダ、サウジアラビアでもフィリピン人看護師の需要が高い。
3. 運転手・ハウスキーパーの日本との年収格差
- 運転手の年収差は7.3倍で、日本では約400万円、フィリピンでは約21万ペソ(約55万円)。
- 日本では長距離トラック運転手や専門職として高収入を得られるケースが多い。
- フィリピンではタクシー運転手やバス運転手の給与が低く、チップや歩合制が多い。
- 一部のフィリピンの富裕層向けの個人運転手(Private Driver)は、比較的高収入となる場合もある。
- ハウスキーパーの年収差は5.8倍で、日本では約300万円、フィリピンでは約20万ペソ(約52万円)。
- フィリピンでは家政婦(メイド)は富裕層向けの仕事だが、日本と比べると低賃金。
- 日本ではホテル業界や家事代行サービスが発展し、労働環境が比較的良い。
- フィリピンでは、中東(サウジアラビア・UAE)、香港、シンガポールなどで家政婦として海外で働く人が多い。
- **OFW(海外出稼ぎ労働者)**として出稼ぎに行くことで、フィリピン国内よりもはるかに高い収入を得られる。
4. フィリピンの若年労働力の影響
- 労働力人口が多いため、人材の供給が多く、低スキル労働の賃金は抑えられがち。
- 若年層の就職先としてBPO産業(コールセンター・ITアウトソーシング)が成長しており、給与水準も比較的高い。
- 海外労働(OFW)への依存度が高く、多くのフィリピン人が出稼ぎで生活を支えている。
- OFWからの送金はフィリピン経済の約9%(GDPの一部)を占める重要な要素。
結論
- フィリピンは若年層の労働力が豊富で、低賃金労働の供給が多いため、一部の職業では給与が非常に低い。
- 高収入を得るには、BPO産業・専門職(医師・エンジニア・看護師)・海外出稼ぎなどが有効な選択肢。
- 特に運転手やハウスキーパーなどの低スキル職では、日本と比べて7倍近い年収格差がある。
- フィリピンの経済成長とともに、今後はサービス業・製造業の給与水準向上が求められる。
この比較から、フィリピンの若い働き手の多さは国の強みだが、低スキル労働の給与水準の向上が課題であることが分かります。